研究課題
基盤研究(B)
AIDはヒトゲノムに突然変異を誘導できる唯一の酵素であり、抗体遺伝子の突然変異とクラススイッチ組換えに必須の因子である。生理的には活性化されたBリンパ球で発現しているが、慢性肝炎やそれに由来する肝細胞癌においてAIDの発現が観察され、C型肝炎ウイルスによってAIDの発現が肝細胞に誘導されることを示してきた。今回、ヘリコバクターピロリ菌が感染した胃細胞やそれに由来する胃癌においてもAIDが発現していることを見いだし、胃細胞で発現するAIDがp53遺伝子に変異を導入できることを示した。また胆管癌においてもAIDが発現していることを見いだした。これらのことからAIDにより導入される遺伝子の突然変異が慢性炎症を背景とする上皮系腫瘍の原因である可能性が示唆された。AIDの発がんにおける作用機序を明らかにするために、AIDトランスジェニックマウスにおける皮膚化学発がん実験を行った。通常のAIDトランスジェニックマウスはT細胞リンパ腫により早期に死亡し、皮膚腫瘍の観察に十分な期間が得られなかったので、T細胞リンパ腫を発症しないヌードマウスの遺伝背景を導入したが、得られたAIDトランスジェニックマウスは肺炎を頻発し、発育不全が認められたため、発がん実験には不適であることが分かった。皮膚基底層で強く発現するケラチン14プロモーターを用いたK14-AIDトランスジェニックマウスは皮膚腫瘍を頻発するFVB/N系統のマウスと交配が完了し、現在、皮膚化学発がん実験中である。AIDノックアウトマウスにおける実験もFVB/N系統のマウスとの交配が完了し、皮膚化学発がん実験を行った。
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