研究概要 |
多遺伝子疾患においてその原因遺伝子を同定することは困難であるが、その遺伝子が疾患発症に関与していることを証明する評価系も確立されていない。この実験計画において、多遺伝子疾患において原因候補遺伝子の生体内での意義を証明するため、多遺伝子疾患でかつ自己免疫疾患モデルである2つの実験系を用いた。 1)MRL lprマウスにおける皮膚炎 MLR lprおよびMRL gldマウスにおける皮膚炎発症率の違いがMRL gldマウスに残存するC3H遺伝子であると仮定し、マウス染色体1番のC3H由来領域を決定したところ、38.1cMから102cMと広範であったため、原因遺伝子を同定するにはMRLマウスへの更なる戻し交配をする必要があるとわかった。またMRL lprマウス由来のES細胞を樹立したが、分化マーカー(Oct4+,Nanog+,Rex1+,AFP-,Cer1-,Gata4-)の発現、embryoid bodyにおける三胚葉分化能を保持していたが、キメラマウス作成後germlineへ分化せず、既存のES細胞を他の実験系を検討した。 2)BALB/cとC57BL/6マウスにおける自己免疫疾患発症率の違い 制御丁細T胞の機能を制御する遺伝子で、かつBALB/cとC57BL/6マウスにおいて多型を持つ遺伝子をスクリーニングした結果、マウス染色体2番に存在する遺伝子に多型があることを発見した。その多型の意義を検討するため、まず、その領域がC57BL/6であるBALB/cマウスと、逆のその領域がBALB/cであるC57BL/6マウスを、6代戻し交配し作製した。自己免疫疾患発症率においてこの遺伝子の多型が関与しているか検討するため、このマウスをホモ化し、繁殖させた。
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