研究課題/領域番号 |
18390141
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
滝口 雅文 熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (00183450)
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研究分担者 |
岡 慎一 国立国際医療センター, エイズ治療研究・開発センター, センター長 (20194326)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
16,310千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 2,010千円)
2007年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2006年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | ウイルス / 病原性 / 感染制御 / HIV-1 / T細胞 |
研究概要 |
我々は以前に、2つのHLA-B*5101拘束性Polエピトープ(Pol283及びPol743)特異的CTLが非常に強いHIV-1増殖抑制能を示すことを明らかにし、これらのCTLが体内でHIV-1増殖抑制に関与している可能性を示唆した。2つの進行タイプ(LTNP,Slow Progressor)で,テトラマーを用いた解析により、これらのHIV-1特異的CTLとウイルス量との相関を検討した。その結果、患者のウイルス量とPol283特異的CTLの数が逆相関していることが明らかになった。一方、Pol743特異的CTLの数とは正の相関が見られた。これらの結果から、Pol283特異的CTLは、患者体内でウイルス増殖を抑制していると考えられたが、Pol743のウイルス量抑制への関与が少ないと考えられた。またPol283エピトープは、LTNPではエスケープ変異が見られなかったが、ウイルス量が高くなっているSlow Progressorでは、エスケープ変異が見られた。Pol743特異的CTLは、ほとんどの患者で検出され、CTLの認識が障害される変異は見られなかった。以上のことからPol283エピトープ上に見られる逃避変異の出現により、これらのウイルスを排除できなくなり、病態が進行することが明らかになった。 Pol283のエスケープ変異の出現を、世界8ケ所のコホートを用いて解析したところ、H個のエピトープの変異は、HLA-B*5101に相関していること、また各コホートでこの変異がHLA-B*5101を持っていない人にも蓄積してきていることが明らかになった。これらのことから、エスケープエピトープが蓄積したHIV-1が集団全体に増えることで、HIV-1感染者にとって特異的な免疫の誘導がされない状況になりつつあることが推測された。今後のワクチン開発に重要な問題を提議した研究結果である。
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