研究課題/領域番号 |
18390154
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (60243961)
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研究分担者 |
田中 芳彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (00398083)
錦見 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70404019)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
17,470千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 2,970千円)
2007年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | 免疫学 / シグナル伝達 / 生体分子 / アレルギー・ぜんそく / 発生・分化 / DOCK2 / Rac / 樹状細胞 / 遊走 / ケモカイン / 細胞内動態 |
研究概要 |
好中球は極めて運動性の高い、生体防御システムの最前線で機能する白血球である。これまでノックアウトマウスを用いた解析より、好中球の遊走や活性酸素産生において、Racが重要な役割を演じることが明らかにされているが、Rac活性化を制御する分子は不明であった。私達はDOCK2欠損好中球では、fMLP刺激によるRac活性化が障害されており、その結果leading edgeにおけるF アクチン及びPIP_3の集積が消失することを見いだした。さらに、GFPノックインマウスを用いて、DOCK2がPIP_3と会合し、PI3K依存的に細胞膜移行することを明らかにした。興味深いことに、DOCK2によるRac活性化は、持続したPIP_3の集積やAktのリン酸化には重要であったが、PIP_3の産生そのものには全く影響しなかった。以上より、DOCK2は好中球の遊走において、RacとPIP_3間の正のフィードバックループで機能するRac活性化分子であるが、そのフィードバック機構はPI3Kの触媒活性を介したものではないことを明らかにした。一方樹状細胞は、その機能や形態、細胞表面マーカーの違いから骨髄系樹状細胞(mDC)と形質細胞様樹状細胞(pDC)に大別できる。私達は、DOCK2欠損マウスの骨髄においてpDCの分化は正常に起こるにも関わらず、2次リンパ組織においてpDCが著減することを見いだした。DOCK2欠損pDCはケモカイン刺激によるRac活性化が障害されており、その結果pDCの遊走能が著しく低下していた。しかしながら、DOCK2欠損はmDCの遊走やRac活性化には全く影響しなかった。このことから、mDCとpDCの遊走には異なるRac活性化分子が関与していることが示唆された。 以上より、DOCK2が好中球やpDCの遊走に不可欠なRac活性化分子であることを実証することができた。このことから、DOCK2は自然免疫系においても重要な機能を演じることが初めて明らかとなったが、自然免疫におけるDOCK2の機能や制御機構の全貌を解明するには、今後さらなる研究が必要である。
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