配分額 *注記 |
17,750千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 2,250千円)
2007年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2006年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
本研究では発現誘導型Aktトランスジェニックマウスを用いて,以下の3つの点について検討した.1.病的心肥大が心機能低下をひきおこす機序,2.病的心肥大と生理的心肥大の違いを決定する因子,3.Akt活性化による心不全治療の可能性. 1.病的心肥大が心機能低下をひきおこす機序 病的心肥大においてはVEGFなどの血管増殖因子の発現低下による心筋虚血が心機能低下の原因となっていることが明らかになった.また,増殖因子やAkt活性化によるVEGF発現誘導はrapamycinによって抑制され,Akt-mTOR経路の機能障害が病的心肥大における心機能低下の原因のひとつであると考えられた. 2.病的心肥大と生理的心肥大の違いを決定する因子 生理的心肥大および病的心肥大から得られた心筋組織を用いてDNAマイクロアレイ解析をおこなったところ,糖脂質代謝経路に関連する分子が病的心肥大と生理的心肥大とで発現量が変化していた.また,脂肪酸β酸化酵素の遺伝子発現を誘導するPPARαとPGC-1αの発現がAkt活性化により減少しており,生理的心肥大時における心機能維持はAktによる糖脂質代謝制御を介したものであると考えられた. 3.Akt活性化による心不全治療の可能性 圧負荷あるいはdoxorubicinによる心不全モデルを作成し,心機能低下が明らかになった時点でAktを活性化したところ,これらのモデルにおいて心機能の有意な改善が認められた.以上の結果は,心筋におけるAktの活性化が心不全の新たな治療戦略となる可能性を強く示唆するものと考えられた.
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