研究課題
基盤研究(B)
我々は、自己骨髄単核球細胞(BM-MNC)移植による血管新生効果があることを報告してきた(Tateishi-Yuyama, et. al.Lancet.2002)。さらに、自己BM-MNCと薬剤(Beraprostなど)を組み合わせたり、遺伝子治療(Angiopoietin-1 plasmid)を組み合わせることで(Kobayashi, et. al.ATVB.2006)、より効果的な血管再生療法が可能なことを確認し報告してきた。今回は骨髄細胞以外の自己組織由来幹細胞移植による血管再生療法の可能性を探るために、以下の検討を行った。脂肪組織をミンスし、コラゲナーゼ処理を行う。浮遊培養を行い、成熟脂肪細胞を分離したのちに、付着細胞としての間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:MSC)・内皮細胞・周皮細胞を1塊として採取した。低酸素下培養を行い、間葉系幹細胞(Adipose-derived stem cell:ASC)の分離を行った。ASCの血管再生能に関する研究:自己脂肪組織由来ASCについて、細胞移植による血管新生効果について検討を加えた。我々はこれまでにマウス・ラット・ウサギの重症下肢虚血モデルやラット・ブタ心筋梗塞モデルにおいて、自家骨髄単核球細胞やヒト臍帯血由来内皮前駆細胞の移植により、虚血心筋・骨格筋内の血管新生や側副血行路の発達が増強され、心機能改善や下肢血流増加がもたらされることを報告してきた(JCI 2000;Circulation 2001)。今回これら動物モデルを用いて、脂肪組織由来ASC細胞移植による血管再生効果についてin vivoで検討した。ASC移植は、マウスにおいて下肢虚血後の血管新生を有意に増強した。ASC移植群では、組織からのSDF-1やVEGFの産生が増強しており、末梢血液中、骨髄中のEPC様細胞の増加が見られた。この血管新生作用やEPC増加作用はSDF-1中和抗体の投与で有意に抑制された。
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Nat. Cell Biol. (in press)(印刷中)
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