研究課題
基盤研究(B)
1)アクチビンは肝細胞の産生するオートクリン増殖抑制因子で、肝再生の際には再生にブレーキをかける役割を果たしている。これまで我々はこのアクチビン作用をブロックするフォリスタチンが肝再生を促進することを明らかにしてきた。しかし肝再生のスピードをあまり上げすぎると残存肝の機能が低下し、臨床的には肝不全等をきたす可能性も考えられる。そこでラットを用いて90%肝切除という浸襲の大きな肝切除を行い、その後比較的少量のアクチビンAとフォリスタチンを投与し、残存肝の機能を検討した。その結果、フォリスタチンを投与するよりは、少量のアクチビンAを投与する方が残存肝機能がよいことが判明した。2)アクチビンは膵前駆細胞モデルであるAR42J細胞に作用し、転写因子Pax4の発現を促進する。我々はこのアクチビンによるPax4遺伝子発現誘導のメカニズムを検討した。その結果アクチビンによるE47/E12のトランスアクティベーションが関与することを明らかにした。3)膵幹細胞をin vitroで分化させ,インスリン産生細胞を得るための検討を容易にする、β細胞特異的なプロモータシステムを樹立した。4)膵前駆細胞モデルAR42J細胞を用いて、転写因子MafA重要性を明らかにした。5)膵臓形成やβ細胞の分化において重要な役割を果たす転写因子PDX-1遺伝子の発現調節機構を検討し、Ptf1とRBP-Jの関与を明らかにした。6)膵前駆細胞をインスリン産生細胞へと分化誘導させる因子として知られているアクチビン+べータセルリンの作用と、これら因子のもつ欠点を除いたいわば第二世代の因子ともいえるコノフィリン+べータセルリンδ4の作用を比較し、後者が様々な点において優れていることを実証した。
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