研究課題
基盤研究(B)
7番染色体長腕(7q)領域に存在することが確実視されている骨髄異形成症候群(MDS)ならびに骨髄性白血病抑制遺伝子候補を同定するため、われわれは微小染色体欠失を高感度に検出できるマイクロアレイCGH法を独自に開発した。このシステムを用いて、Miki、Kasumi、Titanと命名した新規遺伝子を2005年までに単離した。これら三遺伝子は脊椎動物以外に相同遺伝子がなく、哺乳類になってからも遺伝子構造を大きく変えていた。既知遺伝子との相同性に乏しく、既知モチーフを持たないなど、進化上新しい遺伝子群であった。本科研費の支援を受け当該三候補遺伝子産物の機能解析を行った。その結果、MikiはpolyADP-ribosy1(PAR)化を受け、分裂前期〜分裂中期の中心体・紡錘糸に局在する。その発現抑制により中心体の成熟障害が生じる結果、紡錘系の形成不全が生じ、染色体遅延、染色体散乱や多核・小核細胞の形成などMDSと酷似した分裂異常と核形態異常を生じた。また、異常分裂によって生じる染色体不安定性も、骨髄性白血病発症への大きなカギとなると考えられた。KasumiとTitanは75%程度の相同性を有し、単一の遺伝子より進化した関連遺伝子である。マウスにはTitan遺伝子のみが存在し、Kasumi遺伝子はないので、Titan遺伝子欠失マウスを作成した。Titan欠失マウスは一見して正常であるが、レトロウイルスの感染により、高頻度に骨髄性白血病を発症した。これらの結果より、われわれが単離した上記三遺伝子候補は、7qに存在することが想定されているMDS/AMLの抑制遺伝子である蓋然性が非常に高いと考えられ、Titan/Kasumi蛋白質の機能解析などの検討を進めている。
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