配分額 *注記 |
17,730千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 2,130千円)
2007年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2006年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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研究概要 |
水疱性類天疱瘡(BP)は,XVII型コラーゲン(COL17)に対する自己抗体により発症すると考えられている.COL17は表皮真皮間の接着に非常に重要であり,遺伝子異常により先天的に発現が欠損した場合,外的刺激により容易に水疱を形成する表皮水疱症となる.このCOL17が自己抗原となるBP患者IgGをマウスヘ投与しても病変は形成されない.従って、本当に患者のCOL17に対する自己抗体によってBPが発症するかについては未だ証明されていない. 本研究の目的は,遺伝子改変マウスを用いて,BP患者に存在する自己抗体の病原性を直接証明すること,並びに,BP抗原のepitopeに一致するペプチドをdecoy(おとり)として投与する,エピトープデコイ(epitope decoy)という新規治療戦略を開発することにあった。 その結果、COL17 KOマウスでは,COL17の発現が無く,皮膚は脆弱で容易に水疱を形成しヒトの表皮水疱症患者に極めて類似していた.COL17 KOマウスの多くは成長障害と高い死亡率を呈し交配は不能だった.一方,ヘテロのCOL17KOマウスでは異常所見は認めず,ヒトCOL17が皮膚で発現するヒトCOL17 cDNAトランスジェニックマウスとの交配を進めた.最終的に,マウスCOLI7が欠損しヒトCOLI7のみ発現するCOL17ヒト化マウスが得られた.このマウスではKOマウスで見られた殆どの異常所見は認めずほぼ正常の表現形を呈しCOL17ヒト化マウス同士の交配も可能だった.この結果、患者の表皮細胞に遺伝子を導入する遺伝子治療の有用性が示された。 次に,このCOL17ヒト化マウスへBP患者由来IgGを投与したところ,ヒトIgGがマウス皮膚へ沈着し表皮下水疱が生じBPの所見を再現することに成功した.更に,COL17の抗原エピトープNC16Aドメインをコードする種々の蛋白を合成した。このリコンビナントペプチドをこのBPモデルマウスへ投与したところ,優位に病勢を抑制し,抗体中和療法として有用であることが解った(epitope decoy療法).将来BPに対する新しい治療法をして有用であることが示された。
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