研究課題/領域番号 |
18390355
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | (財)動物繁殖研究所 |
研究代表者 |
日下部 守昭 財団法人動物繁殖研究所, 実験動物研究センター, 主席研究員 (60153277)
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研究分担者 |
柴田 雅朗 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (10319543)
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10248255)
橋本 尚詞 東京慈恵医科大学, 医学部, 准教授 (80189498)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
16,810千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 1,110千円)
2007年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2006年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 外科 / 生体分子 / 細胞外マトリックス / テネイシン / 抗体治療 / 細胞間相互作用 / 病理学 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
癌細胞と周囲間質細胞との相互作用は、癌の成長、浸潤、転移に重要な役割を担っている。細胞外マトリックステネイシン-C(TNC)とテネイシン誘導因子(TIF)は、この相互作用を調整する細胞外環境調整因子として重要である。 本実験の目的は、癌の周囲微小環境を標的とした癌の成長を抑制する抗体治療法を確立することである。そこで本実験では、癌細胞[ヒト扁平上皮癌細胞(A431)、ヒトメラノーマ細胞(A375)、ヒト乳癌細胞(KPL1、KPL3C、KPL4)]の増殖、TNC遺伝子発現、EGF遺伝子発現に対する間質因子の影響について解析し、更に、ヒト卵巣癌細胞(2008)、A431、A375、KPL4をヌードマウスに移植した腫瘍に対する抗TNC抗体及び抗TIF抗体の腫瘍成長抑制実験を行った。 その結果、以下のことが分かった。 (1)間質細胞由来の液性因子(MFs;TIFを含む)は、培養下でTNCを産生しない癌細胞(A431、KPL4)のTNC遺伝子発現を誘導するが、自律的にTNCを発現しているA375のTNC発現を抑制した。(2)MFsは、KPL4に対して、TNC遺伝子と共にEGF受容体遺伝子の発現を誘導した。(3)癌細胞の増殖に関して、A431、KPL1、KPL3C及びKPL4では、作用の強弱はあるものの、MFsは、増殖を促進したが、A375は、この影響を受けなかった。 (4)腫瘍成長抑制実験では、両抗体とも用いたヒト癌細胞由来の腫瘍の成長を抑制した。このことより、生体内では、TNCとTIFは、腫瘍成長における癌細胞と周囲間質細胞の相互作用に重要な役割を担っている分子であることが示された。 以上、本実験の結果はTNCとTIFが、がん細胞と周囲間質細胞間の相互作用において中枢的役割を担っていることを示している。また、これらの分子を標的とした抗体治療は、腫瘍成長阻害に効果的な手段であると考えられる。
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