配分額 *注記 |
15,910千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 2,010千円)
2007年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2006年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は,肺腺癌のEGFR遺伝子変異がある症例を中心に劇的な奏効が得られている.しかしながら,効果予測因子としての意義はいまだ確立したとはいえず,EGFR遺伝子以外の様々な分子の解析が患者選択への応用という面からも重要である.本研究では肺癌の個別化医療を実現するためEGFRとその周辺分子の解析と臨床像の関連についての解析を行うこととした. KRAS,PIK3CA,PTENとゲフィチニブ感受性についての検討:78例中9例にKRASの変異を2例にPIK3CA遺伝子変異を見いだした.EGFR遺伝子変異は44例に認められた.KRAS変異とEGFR変異は排他的な関係にあったが,PIK3CA変異のあった二例はEGFR遺伝子を同時に有していた.KRAS変異のある6例は一例もresponseがなかったが,PIK3CA変異のあった2例はどちらもPRであった.生存期間はEGFR変異のある症例,あるいはKRAS変異のない症例で長かった.EGFR変異ある腫瘍に限った場合,PIK3CAやPTENの発現レベルが高い腫瘍で生存が延長していた. ゲフィチニブの獲得耐性症例の解析:EGFR-TKIに奏効したほとんど全ての症例が、後には抵抗性となる.これにはコドン790のT790M変異の関与が報告されたが、その頻度などは不明であった.今回,ゲフィチニブ感受性を示した後耐性となった14例について二次変異の有無を解析した。14例中7例にT790M変異を認めたが、新規の変異は見いだせなかった.治療後にみられるT790M変異は治療前には認めなかった.二次的T790M変異は獲得耐性の半数でその原因メカニズムであると考えられた。 これらの結果は直接に臨床現場でゲフィチニブ治療の最適化に役立てることが可能である.
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