研究課題
基盤研究(B)
骨系統疾患の原因遺伝子の同定とその変異の解析、及びそれに基づく分子病態の解析、遺伝子レベルでの診断法の開発、遺伝子診断システムの構築を目的として研究を行ない、以下の成果を得た。1.多発性骨端異形成症の6つの既知遺伝子の包括的解析をおこない、遺伝子変異のスペクトラム、遺伝子型-表現型連関を明らかにした。2.DTDST遺伝子変異により、atelosteogenesis type II とdiastrophic dysplasiaの中間の表現型の疾患が生じる事を発見した。3.臨床的、レントゲン学的検討により、脊椎肋骨異形成症の表現型のスペクトラムを解明し、再分類した。4.Marfan症候群、及びその関連疾患で、既知の2つの原因遺伝子、fibri111in1、TGF-b type II受容体遺伝子を調べ、新規の遺伝子変異を同定した。5.毛髪軟骨低形成症の新規のRMRP遺伝子変異を同定し、日本人患者には2つの頻度の高いハプロタイプがあることを発見した。6.致死性骨格形成異常症のひとつspondylometaphyseal dysplasia, Sedaghatian typeの原因遺伝子がSBDSであることを発見した。7.致死性の骨系統疾患であるSchneckenbecken dysplasia(SBD)の原因遺伝子SLC35D1を世界に先駆けて発見した。2症例でSLC35D1の機能を完全に欠損させる変異遺伝子を同定した。これにより、SBD及びその関連疾患の遺伝子診断が可能となった。同時に、骨格の形成には糖鎖の代謝が重要な役割を果たしており、糖ヌクレオチド輸送体を中心とした糖鎖科学からの原因究明のアプローチが、骨・関節疾患の病態解明に不可欠であることが明らかとなった。
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