研究課題
基盤研究(B)
RNAiを用いた好中球MPO活性阻害による虚血再灌流傷害の防止について検討するため、以下の研究を行った。まず、siRNAによる好中球MPO活性阻害を試みた。好中球MPO活性をノックダウンするためのsiRNA(ポジのsiRNA)ならびにRNAi効果を持たないsiRNA(ネガのsiRNA)も合成し、遺伝子導入システムを用いて、ヒト好中球に導入した。結果ポジのsiRNAを導入した好中球では、ネガのsiRNAを導入した好中球に比し、mRNAの発現量が低下していた。しかし、オプソニン化ザイモザン(OZ)で刺激した時に、ポジまたはネガのsiRNAを導入した好中球で活性酸素の生成に差が無かった。これより、好中球MPOはsiRNAによりそのmRNAの発現は抑制できても活性は阻害できないということが分かった。次に、虚血再灌流傷害において傷害を受ける側の血管内皮細胞に注目した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cells,HUVECs)がIL-8負荷で活性酸素を産生することが分かったので、このIL-8産生をsiRNAを用いて抑制できるか否かを検討した。HUVECs IL-8をノックダウンするためのsiRNA(ポジのsiRNA)ならびにRNAi効果を持たないsiRNA(ネガのsiRNA)を合成し、遺伝子導入システムを用いて、HUVECsに導入した。結果ポジのsiRNAを導入したHUVECsでは、mRNAならびに蛋白の発現量が低下していた。またポジのsiRNAを導入したHUVECsでは、活性酸素産生能が低下した。これより、siRNAを用いて血管内皮細胞におけるIL-8の発現を抑制することで活性酸素産生を抑制できることが分かった。この結果は、RNAiを用いることにより虚血再灌流時に血管内皮細胞が自ら活性酸素を産生することで引き起こす細胞傷害を軽減できる可能性が示唆するものであった。
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