研究課題/領域番号 |
18390459
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
暁 清文 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00108383)
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研究分担者 |
秦 龍二 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90258153)
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60284410)
兵頭 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30423453)
竹田 将一郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (70403821)
篠森 裕介 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60335908)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
14,250千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 750千円)
2007年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2006年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
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キーワード | 一過性内耳虚血 / 虚血後のプロセス / グルタミン酸拮抗剤 / フリーラジカル消去剤 / プレドニゾロン / アポトーシス / AM-111 / 突発性難聴 / 一過性虚血 / 治療の窓 / プロサポシン由来合成ペプチド / ゼラチンハイドロゲル / インシュリン様細胞増殖因子 / 内耳低温療法 / エダラボン / ジンセノサイド / 神経幹細胞 / GDNF |
研究概要 |
突発性難聴は単一原因の疾患ではなく、様々な病態を含む症候群と考えられるが、「突然発症する」という特徴から循環障害説が有力である。本研究では、スナネズミに一過性虚血を負荷して内耳病態の解明を図るとともに、様々な治療を試み、therapeutic time window(治療の窓:治療効果が期待できる期間)を考慮した新しい治療法の可能性を追求した。その結果、一過性虚血による内耳障害にはエネルギー不全によるダメージに加え、フリーラジカルの多量発生を介した細胞膜障害が生じることが示された。さらに内有毛細胞の障害にはグルタミン酸が関与するなど、部位により障害のメカニズムは異なっていた。内耳障害の病態は虚血後の時間経過とともに変化した。15分虚血を負荷した場合、内有毛細胞の障害は3日以内で停止したのに対し、ラセン神経節細胞の障害は4日以降も進行した。一方、血管条・ラセン靱帯の障害は可逆的で、虚血1日後や4日後では顕著な障害がみられたが、7日後にはほぼ元の状態に回復した。 虚血障害治療の基本は循環障害の改善である。一過性虚血の場合、血流自体は直ちに回復しエネルギー不全は改善するが、他のメカニズムによる障害は進行する。グルタミン酸興奮毒性に対する拮抗剤の効果は、虚血後に投与したのでは間に合わず、臨床的に役立たない。一方、フリーラジカルの濃度は虚血1日後がピークで、4日後も高値を示し、7日後に元に戻った。フリーラジカルによる障害に対しては、この期間中に抗酸化剤やステロイドを投与することが有効であった。虚血を契機にアポトーシスが誘導されると、細胞は遅発性に死滅した。その防御にはAM-111などのアポトーシス抑制剤や栄養因子の投与が有効であった。 どのような治療も時期を逸すれば効果は限られる。突発性難聴に対しても「治療の窓」を想定し、病変部位や病期に応じた治療戦略の構築が不可欠である。
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