研究課題
基盤研究(B)
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(human bone marrow derived mesenchymal stem cell,hMSC)の移植時の動態を調査する目的で、human Green Fluorescent Protein(hGFP)cDNA トランスフェクション後の頭蓋骨欠損部への定着、分化について、骨成熟マーカー、骨発現調節因子を調査した。hGFPトランスフェクション化hMSCは第1継代から第4継代までin vitroで比較検討し、細胞への導入効率、増殖培養にて3時間または6時間遺伝子導入かつ第一継代細胞のみ、培養3日間で、非トランスフェクションとほぼ同等の細胞増殖性を示したため、本細胞を生体内での頭蓋骨欠損モデルでの使用とした。また、放射線と頭蓋顔面、頭頚部の治療関連として、放射線照射後の病態理解にケロイド治療例の臨床検討を加え、放射線照射後の生体条件下で間葉系幹細胞を用いた細胞移植治療法の有用性が明らかとなり、更に線維性増殖疾患(FibroProliferative Disease,FPD)の病態にも関連する事が判明した。更に本細胞の特性を生かし緊急ヒバク医療における貢献の可能性が示唆された。凍結保存が可能であり、凍結・解凍後の細胞増殖性・特性はほぼ維持されており、GFP標識細胞でも同様であった。間葉系幹細胞は既にアメリカをはじめとする欧米各国では、緊急災害時の細胞バンクとしての活用も実践されており、この分野での新たな展開が必要と考えられた。GFP標識後間葉系幹細胞の、生体内での動向は、神経切断・血管結紮モデルにおいては、血流改善・神経再生・組織治癒促進となっており、頭蓋骨欠損モデルにおけても、時間・空間における調節が明らかとなった。今後、自己組織由来幹細胞移植について前臨床試験、臨床試験へ発展させていく必要があると思われた。
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