配分額 *注記 |
16,930千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 1,230千円)
2007年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2006年度: 11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
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研究概要 |
これまでに、アルコールフリーと内分泌攪乱作用が疑われる可塑剤のフリーの両者を満足出来る義歯裏装材用の可塑剤は見出されていなかった.われわれは,それら両性質を兼ね備えた可塑剤として脂肪族ビニルエステル(VE)を見出し,VEとポリメタクリル酸エチル(PEMA)から構成される軟性裏装材(VE/PEMA軟質裏装材)の可能性に関して検討してきた.さらに、VE/PEMA軟質裏装材中のVEのビニルエステル基が重合反応性を有することを利用した.すなわち,VE/PEMA軟質裏装材中の可塑剤として働いているVEを重合させてPoly-AVEとすることによって,軟質裏装材中から物性変化の原因である低分子の可塑剤を消失させてしまう(可塑剤フリー)と共に,VEの分子構造を工夫することにより,Poly-VE/PEMA軟質裏装材の機械的性質を任意に制御することを試みた.その結果,裏装材中のAVEの重合が可能であり,VEがPoly-AVEとなることによって溶出などが懸念される低分子可塑剤が存在しない裏装材が創製出来た.また,VEとしてビニルエステル基を分子内に一つ持つモノビニルエステルを使用した際には,極めて柔軟な機械的性質を賦与することが出来,ビニルエステル基を分子内に二つ持つジビニルエステルを使用した際には,義歯床に匹敵する機械的性質を持たせることが出来ることを明らかとした. これらの組成物について,ヒト組織モデルを用いて細胞毒性試験を行ったところ,VE/PEMA系樹脂組成物未重合体では,VEの分子構造に由来したジビニルエステルはモノビニルエステルと比較して毒性が強くなった.一方で,重合体とすることによって両ビニルエステルとも細胞毒性が無くなることが明らかとなった.さらに,マウスを用いた皮膚感作性試験を行ったところ,両ビニルエステルとも弱い感作性を示した.
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