配分額 *注記 |
16,100千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 1,500千円)
2007年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2006年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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研究概要 |
本研究では,口腔健康度を規定すると考えられる要因の一つである口臭および歯周病と呼気中の物質,唾液中の生化学物質および生活習慣に含まれるリスクファクターとの関連性を調べ,さらに歯周病進行に関するリスクファクターの縦断的疫学研究を行い,口臭治療予後の予測を試みた。 口臭と呼気との関連性を調べた結果,電子嗅覚装置を用いて測定された総臭気指数は,硫化水素,メチルメルカプタン,アンモニア,トリメチルアミンおよびブチルアルデヒドにより有意の寄与を受け,口腔保健要因のうち舌苔スコアおよび歯垢指数と有意の関連性を認めることが明らかとなった。次に,歯周病進行と生活習慣との関連性および喫煙の唾液炎症マーカーや歯周病細菌に及ぼす影響について調べた結果,喫煙および不良な睡眠時間は独立して有意に歯周病進行と関連性を持ち,また,喫煙が歯周病進行に及ぼす集団寄与割合は38.5%であり,生涯喫煙量と歯周病進行には有意の量反応関係を認めたことから,喫煙は歯周病進行に関する最も強いリスクファクターであることが明らかとなった。また,喫煙状態は,歯周病細菌との間に関連性はみられなかったが,プロスタグランディンE2,ラクトフェリン,アルブミン,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ,乳酸脱水素酵素およびアルカリフォスファターゼについては,喫煙者は非喫煙者より有意に低い値を示した。さらに,口臭症患者を対象として,初診時に電子嗅覚装置により測定された7種類の基準ガスの臭気指数を基にクラスター分析を行った結果,対象者を4群に分類することができ,これらの群の口腔保健要因はそれぞれ異なっていた。さらに,分類されたクラスターは治療予後と有意に独立した関連性を示すことが明らかとなった。 以上の結果より,呼気中の揮発性有機化合物および唾液炎症マーカーは口腔健康度の評価および治療予後予測に応用できる可能性が示唆された。
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