研究課題/領域番号 |
18401009
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
福井 捷朗 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (10027584)
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研究分担者 |
笹川 秀夫 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 講師 (10435175)
磯田 弦 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 講師 (70368009)
星川 圭介 京都大学, 地域研究総合情報センター, 助教 (20414039)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
9,370千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 1,470千円)
2007年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 土堤灌概 / 東南アジア / 東北タイ / 伝統技術 / 天水田 / 伝統的水田灌漑 / 土堤溢流灌漑 / 北西カンボジア |
研究概要 |
1.タムノップとは、両岸より高い土堤で河川を横断し、流量の全量をその上流側に溢流させるシステムである。 2.溢流した水は、延長土堤、田越し放流、迂回水路などによって、できるだけ広く拡散され、その一部は原水路へ還流させられる。 3.よってタムノップ・システムは、河川堰上げ機能、溢流水拡散機能、余剰水還流機能の3機能をもつ。伝統的には3機能とも土堤で行うのが基本であるが、コンクリートが普及したのちは、越流堰、樋管、水門が加わり、効率化されている。しかし、その本質は、あくまで溢流水の拡散にある。 4.20世紀前半までは地方行政によってもタムノップの意義が理解されていたが、後半になると井堰灌概だけが主流となり、多くのタムノップは井堰によって置き換えられた。タムノップは数少ない村落で知られるだけとなった。 5.しかし東北タイにおける河川水文特性を考慮したとき、タムノップの意義は見直されるべきである。 6.一般に恒常的な流量が期待される場合には、必要量だけを取水する井堰灌漑が使われる。しかし、量的、時間的に流量が不安定な場合には、ため池灌漑が使われる。東北タイの河川水文は、乾燥地のワジに類似した間欠的な増水を特徴とする。タムノップによる全流量の溢流と田越し放流は、水田を利用した1種の貯水と見ることができる。 7.タムノップによる溢流水の分配、原水路への還流に関する問題は技術的に十分改良可能である。タムノップの意義を見直し、それに改良を加えれば、将来的に十分意味のあるシステムである。
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