研究課題/領域番号 |
18401031
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
禿 仁志 東海大学, 文学部, 教授 (10186009)
|
研究分担者 |
金原 保夫 東海大学, 文学部, 教授 (20161614)
宮原 俊一 (冨原 俊一) 東海大学, 文学部, 助教 (50297206)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
7,820千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 1,020千円)
2007年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2006年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
キーワード | ブルガリア / トラキア人 / 前期青銅器時代 / 環濠 / 集落 / 発掘 / トラキア平野 / 考古学 / テル・デャドヴォ / トラキア / 青銅器時代 / 中世 |
研究概要 |
バルカン半島東南部の先住民トラキア人の祖先がブルガリアの地に最初に登場したのは青銅器時代の頃で、その後在地の住民と混淆を繰り返しながら民族としての「トラキア人」が形成されたといわれている。それ故青銅器時代の研究はトラキア人の民族形成の問題に直結するテーマとなっている。我々はブルガリア東南部に所在する前期青銅器時代集落遺跡テル・デャドヴォの発掘調査を通じて、トラキア人の民族形成の問題を探っている。 過去17次に及ぶ調査の結果、集落内通路を挟んで数軒ずつ住居が塊状となって分布する居住状況が明らかとなり、これは集団構成を反映するものと理解された。ブルガリア前期青銅器時代集落の実態を探るため、隣接するエゼロ遺跡との比較研究を進めたが、集落を画する施設の有無についての問題は未だ解明されずに残されていた。そこで今回ブルガリア側との協定により新たに遺跡東斜面部を本格的に調査することとなり、ここに幅1m、長さ27mのトレンチを設定し、一部について深さ2m-3mの、地山と推測される硬質基盤層まで掘り下げた。その結果深さ120-140cm、検出面の幅310cm、底面部の幅160cmを測る溝状遺構が初めて検出された。但し狭いトレンチ内での検出であり、この「溝」が果たして集落全体を囲む「環濠」として機能していたかどうかは今後の更なる調査・研究に待たなければならない。しかしデャドヴォでは集落形成期に「環濠」が巡っていた可能性を今回初めて具体的に指摘出来たことは大いなる成果であったといえる。ブルガリア考古学界では「溝」が防御施設であったか、祭祀に関わる区画として機能していたかは論議が重ねられているのが現状であるが、今回のデャドヴォ調査により貴重な新しい事例を追加出来たと認識している。なお「溝」の拡がりの実態把握については今後の調査が必要である。
|