研究課題
基盤研究(B)
ユーラシア寒冷地生態系における土壌有機物動態を調べた本研究の主要な成果は、以下の通りである。1) 緯度あるいは標高に伴う土壌および植生の遷移を、カザフスタン南東部山間地、フィンランド、西シベリア、カナダ平原において調査した。一般に、これら個々の地域内では土壌・植生分布の明瞭な成帯性が見られたことから、土壌有機物動態もまた基本的には位置情報に基づいて規則的に理解しうるものと考えられた。2) テンシャン北部の山間地5地点において、^<13>C安定同位体標識法を用いて植物体の分解速度定数および利用された基質の重比重画分移行率を実測した。双方ともに、温度・水分条件のみでは補正されない地点間の差異が明瞭に観察されたことから、有機物分解機構におけるその原因の追及が今後の課題として挙げられた。3) テンシャン北部より採取した土壌試料を用いて、土壌微生物の基質利用パターンの詳細を検討した。低レベルのグルコースを土壌に添加し、微生物による利用(同化と呼吸)を追跡した結果、微生物が貯蔵物質より自身の構成体の合成を開始し、呼吸/同化の割合が増加し始めるような、基質添加量の閾値が存在することが明らかとなった。また酸性土壌や被攪乱土壌では、より高い割合の基質が容易に無機化されることが明らかとなった。後者のような状況は、実際に根圏や残渣圏において起こりうるものである。4) 土壌有機物減耗を回避するように作付体系を最適化するために、土壌有機物収支の時系列的・空間的変異を、カザフスタン北部の穀作圃場において測定した。その結果、地形適応型作付体系の可能性が示されるとともに、ここで用いたジオスタティスティクスの手法が、地形・作付体系に伴う土壌資源の空間的不均一性を考慮に入れた上で土壌有機物動態をシミュレーションしようとする際、強力なツールとなりうることが示された。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (36件) (うち査読あり 19件) 学会発表 (13件) 図書 (2件)
Soil Science and Plant Nutrition 54
ページ: 159-171
110007326839
Soil Biology and Biochemistry 40
ページ: 947-955
ページ: 216-223
110007326899
Land Degradation and Development 19
ページ: 305-320
110007331000
日本土壌肥料学雑誌 79
ページ: 399-407
Soil Biology and Biochemistry 40(4)
Soil Science and Plant Nutrition 54(2)
Land Degradation and Development 19(3)
Soil Science and Plant Nutrition 54(5)
ページ: 794-806
Soil Science and Plant Nutrition 53
ページ: 150-161
110006532375
ページ: 162-172
110006532376
ページ: 289-299
110006532391
ページ: 634-649
110006532427
Soil Science and Plant Nutrition 53(2)
Soil Science and Plant Nutrition 53(3)
Soil Science and Plant Nutrition 53(4)
Soil Science and Plant Nutrition 54(1)
In Climate Change and Terrestrial Carbon Sequestration in Central Asia. Eds. R. Lai, M. Suleimenov, B. A. Stewart, D. O. Hanson, and P. Doraiswamy. Taylor & Francis, Leiden. Netherlands.
ページ: 279-331
Soil Science and Plant Nutrition 52
ページ: 233-242
110006251025
Pedologist 50
ページ: 29-45
110009428207
Soil Science and Plant Nutrition 52(2)
Pedologist 50(1)
Tropics 15(1)
ページ: 1-27
10019294031
Geoderma 136(1-2)
ページ: 51-63
Soil Science and Plant Nutrition 52(6)
ページ: 734-744
110006251083
Japanese Journal of Tropical Agriculture 50(4)
ページ: 199-207
130004373980