研究課題/領域番号 |
18406015
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
|
研究分担者 |
倉園 久生 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (90186487)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
15,220千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 1,920千円)
2007年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2006年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
|
キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / VacA / 病原因子 / 細菌毒素 / サイトカイン産生 / 遺伝子多型 / 毒性発現 / 細胞死 / 細菌由来病原因子 / ヘリコバクター / 多型比較調査 / フィリピン / タイ / PGE2 |
研究概要 |
フィリピンにおいては、セントルークス医学センターのNatividad博士、De Guzman博士らにより当付属病院消化器内科で異なる胃疾患38患者の胃から内視鏡により採取された49検体からヘリコバクター・ピロリを分離後、昨年行ったそれらの遺伝子型(16srRNA and glmによる本菌の遺伝学的同定;cagAおよびvacA遺伝子)に加えて、新たにiceA及びBabの遺伝子型を調べた。その結果、胃癌患者の57%にs1b,m1、胃炎患者由来の30%がs1a,m1で、m2はわずか8%と低率であった。cagAは胃癌患者で64%、胃炎患者のそれより高率であった。検体の41%がiceA1であり、bab遺伝子のほとんどがbabA1であった。また、慢性胃炎患者ではVacAが相関するが、cagAおよびiceとは相関せず、約50%の胃炎患者検体が高率にbab遺伝子を有していた。タイにおいては、マヒドール大学熱帯医学部において同様な遺伝子多型の検索を行ったが、タイでの解析は幾つかの技術的な問題もあり、十分な解析と比較が出来なかった。 一方、VacAはp38MAPK/ATF-2経路を活性化し、炎症反応に関わる誘導型COX-2の発現を亢進した。この作用が胃のみならず大腸上皮細胞にも認められることを明らかにして、Infection and Immunityに報告した。また、本菌感染局所には多くの炎症細胞の浸潤や活性化が認められ、感染による胃粘膜障害にはIL-8が重要な役割を担っていると考え、VacAが宿主細胞からのIL-8産生を促す可能性とその産生機構の詳細を究明した。その結果、末梢血CD14^+細胞のみならず、単球系株化細胞U937細胞を含む数種の細胞でVacAによるIL-8の産生誘導が著明に認められた。そこで、U937細胞を用いてVacAによるIL-8産生誘導機構を詳細に検討し、その研究成果を、本年4月のJournal of Immunologyに報告した。TSS4およびトランスフェクッションによる細胞内へのcagA遺伝子の導入が、VacAによるp38 MAP kinaseおよびErkの活性化にどのように影響するかを調べている。 今回の結果では、m1VacAとm2VacAとの生物学的な差が認められなかった。更に、VacAの細胞毒性にCagAの共存が著明に影響する成績が得られている。
|