研究概要 |
本研究の目的は,「マルチメディアデータの処理」や「実験装置から連続的かつ大量に生成されるデータ解析」等のストリーミング処理が含まれている分散プログラムをGridやPCクラスタ等の分散コンピューティング環境に潜在的に含まれている多くのプロセッサや記憶領域等の計算機資源を有効に利用することで,効率良く実行することである.ストリーミング処理が含まれている分散プログラムは,既存のタスクスケジューリング手法を単純に適用できないため,分散コンピューティング環境において効率的に実行することができない.そこで,この種の分散プログラムであっても,効率的にタスクに計算機資源を割り付ける新しいタスクスケジューリング手法を設計して評価を行った.これまでに作成したネットワークトラフィックを監視してセキュリティ検査を行ったり,コンテンツをキャッシュしたりするストリーミング処理を伴う実際的なアプリケーションを評価に用いて評価を行った.このアプリケーションは,現在非常に高価で柔軟性に欠けるネットワークアプライアンスに依存している広帯域ネットワークにおけるセキュリティ検査のための処理を,遊休計算機も活用できるPCクラスタなどの安価な並列処理により,新しい脅威に簡単に対応できる等,より柔軟な形式で実現するものである.開発した新しいタスクスケジューリング手法はこのアプリケーションのタスク間の通信を最適にするものであり,提案手法を提案して評価を行った.その結果,提案手法はGridや共有されたPC群のような環境においてもタスクの実行時間のばらつきを抑えることができ,効率の良い並列分散実行が可能であることを示すことができた.
|