研究概要 |
民俗芸能の舞踊を記録・保存するために,3次元デジタル舞踊符(以下,舞踊符)を提案している。舞踊符は,モーションキャプチャ(MOCAP)により収録した人の動きのデジタルデータを基本動作に分割して名前を付けたものである。舞踊符を使うと,舞踊の記録・保存だけでなく作舞もできる。本研究では,舞踊符の実用化のために,以下の課題につき検討を行った。 1)舞踊符の自動作成:舞踊符作成の自動化のために,MOCAPデータの波形の特徴を利用する方法と自己組織化マップを用いる方法を検討した。 2)舞踊符データベースの構築:舞踊符の活用のためには,検索容易な舞踊符データベースを構築する必要がある。舞踊符に自動的に振りの名前や動作語を付ける手法とその名前や動作語を検索キーにする方法を検討した。これにより,操作性よく検索できることを確認した。 3)舞踊コンポーザの作成:舞踊符を並べて作舞する舞踊コンポーザを開発した。作舞した舞踊は,各種MOCAPデータとして保存できる。 4)舞踊ビューアの作成:パソコン上で,舞踊コンポーザで作舞した舞踊を鑑賞する舞踊ビューアを開発した。また,どこでも簡単に舞踊を鑑賞できるよう,無線LAN機能のあるPDAを使って舞踊を表示できる手法を開発した。PDAにはインターネット経由でデータベースから舞踊をダウンロードする。 5)公開用舞踊データベースの構築:舞踊を収録するとき,静止画,動画,楽曲等を同時に記録する。また,舞踊符はCG静作の素材等に使うことも想定しており,複数のデータフォーマットで記録してあることが望ましい。そこで,公開用に,MPEG-7を用い,多様なフォーマットのデータを包括的に記録可能なデータアーカイブ方式を開発した。 この2年間,舞踊符を実用化するための基礎研究を行った。今後は,これらの成果をもとに,広く「匠の技」の伝承技術の開発を目指す。
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