研究概要 |
画像電子透かしの重要な課題として,幾何変形への耐性が挙げられる.これは,情報を埋め込んだ画像が幾何学的な変形を受けた場合でも埋め込み情報を検出可能とすることである. 代表的な幾何変形として,画像の各部分に微小な不規則ゆがみを加える「ランダム歪み」および,拡大・縮小,回転などのアフィン変形がある.従来研究では,ランダム歪みに対応可能な方法,アフィン変形の一部に対応可能な方法があったが,両者に対応できる方法はなかった. 本研究では,まずカラー画像を構成する3つの色平面のうち2つに,同じあるいは反転パターンを重畳することで,1または0のビット情報を埋め込む方法を提案した.検出時には,2つの色平面の相関を求め,その正負によって1または0を検出する.画像が幾何変形を受けても,2つの色平面は同じ変形を受けるので,埋め込み情報を正しく検出することができる. この基本方式に加え,透かしの埋め込みによる画質劣化の防止,検出信頼性の向上,複数ビットの埋め込みなど各種の改良方式を提案,実装,評価を行った.
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