研究概要 |
近未来のユーザ品質指定・オンデマンド型ホームシアター配信システムを実現するための技術開発を行うことを本研究課題の全体構想とし,そのために必要なメディア品質評価技術について,以下2点の検討を行った. (1)符号化された映像メディアにおける品質評価技術について 符号化された主観評価実験を行い得られた総合品質と各フレーム品質との関連性について解析した.その結果,時間・空間領域ともに品質が劣化する場合,総合品質はフレーム品質とフレームレートを利用すると高精度に推定できることから,総合品質の決定要因は時空間の品質を考慮する必要があることが分かった.つまり,高精度な客観評価法を構築するためには,フレーム品質を精度良く推定し,なおかつ,フレームレート情報をサイド情報として得ることが必要であることが明らかとなった. (2)符号化されたAVメディアにおける品質評価技術について 符号化されたHD品質の映像と多チャンネル音とを含んだAVメディアを対象とし,主観評価実験によって映像と音品質の相互作用を解析した.その結果,総合品質は,映像品質の影響を強く受け,聴覚よりも視覚優位であることが明らかとなった.さらに,臨場感を推定することができる客観評価法を開発することを目的とし,映像・音響の臨場感の主要因をSD法により解析した.その結果,3つの因子が得られ,臨場感は、因子1〜3の因子得点から精度良く推定でき、かつ、因子1〜2の因子得点は映像・音響のビットレート比からある程度推定可能であった。つまり、因子3の因子得点を素材の種類から推定できるとすれば、映像と音のビットレート比から因子1、2の因子得点の推定値を利用することで、臨場感を推定できる可能性があることが示された。
|