研究概要 |
1.計測システム:乾燥空気中で様々なガスをppbレベルで検出可能な重量検知型水晶振動子(QCR)式ガスセンサを用いて呼気ガス計測システムを設計した.共振周波数9MHzの温度依存性の小さいATカットQCRの両面に感応膜として高周波スパッタリング法によりプラズマ有機薄膜を堆積させたトランスデューサを発振用回路と周波数変化計測用回路,マルチポートインタフェースを持つ集積回路ボード上に8個アレイ状に装着することで呼気ガスセンサモジュールを構成した.呼気ガス測定系は,被験者が呼気を吹き込むサンプルラインと,大気をベースとして取り込むリファレンスラインで構成されており,ガスラインの流量は流量調整器によって制御される. 2.心理推定 (1)被験者にイメージングにより快,不快の感情を想起してもらい,その感情状態における呼気を収集した.快,不快,及び感情無しの3感情状態を対象として学習機械による認識システムを構築した.センサ応答波形からパルス幅と振幅を抽出して特徴ベクトルを構成して学習機械の入力とした.実験の結果,サポートベクトルマシンにより83.3%,ニューラルネットワークにより75%の認識率が得られ,呼気ガスからの感情識別の可能性を示した. (2)物理的な刺激として市販の洗口液を使用し,被験者20名より洗口液の使用前後での呼気を収集し,さらに多面的感情状態尺度により洗口液使用前後での感情評価を行った.その結果,洗口液使用後は正の感情が喚起されていることから,快適(洗口液使用後)と普通(洗口液使用前)の2感情状態を対象としてニューラルネットワークによる認識システムを構築した.ガスセンサの応答波形で構成したデータマトリクスについて主成分分析を行って特徴ベクトルを抽出し,ニューラルネットワークへの入力とした.実験の結果,47.5%の認識率が得られ,呼気ガスからの感情識別の可能性を示した.
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