研究概要 |
本研究は高齢者・障害者の健康の維持・促進に寄与するために,ひとりひとりの健康状態,生活習慣等に対応した繊維製品の開発とその製造技術に関するものである.特に,近年我が国では高齢身障者の寝たきりが深刻な問題となっており,この状況を打開するために,個人対応型寝具は重要な役割を果たすと考えられる.以上の状況を鑑み研究期間内において,1.寝心地と寝具特性の関係性,2.オンデマンド寝具設計支援のための寝姿勢予測技術について研究を行なった.これらの研究により得られた成果は以下の通りである. 1.個人に対応した寝具設計の指針を確立するために,寝具の弾性率と寝心地の関係性を脳波やPOMS等の生理心理指標により調査した.その結果,マットレスの弾性率が高いほど睡眠状態が良くなることが明らかになった.その理由としては,高弾性率のマットレスほど寝姿勢が適切な状態で保持されるためと考えられる.このことは,ベッドマットレスの弾性率が高いほど睡眠周期が長く,深度が深い傾向であったことからも裏付けられた. 2.設計の個人対応化および省力化のために,寝姿勢予測を力学シミュレーションにより行なった.シミュレーションで用いるベッドマットレスモデルは昨年度と同様に有限要素モデルを用い,人体モデルについては関節部分を弾性体,それ以外を剛体と近似した剛体リンクモデルを用いた.その結果,体圧分布に関しては誤差が大きかったが,寝姿勢に関しては実際に近い結果を得ることができた.これにより,人体モデルの体型を変化させてシミュレーションを行なうことで,ベッドマットレスの個人対応設計の実現に向けて応用が可能となった.
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