研究概要 |
量子状態を用いた量子コンピュータが注目されているが,量子計算の特徴め1つである干渉効果を遺伝的アルゴリズムにおける交叉メカニズムに利用した干渉交叉がある.本研究では、まず,従来の遺伝的アルゴリズムにおいて有効な古典的交叉と量子風遺伝的アルゴリズムで有効な干渉交叉とを同時に含み,さらに多様な交叉方法を生成する混合干渉交叉法を提案し、巡回セールスマン問題に適用した結果、良好な結果が得られた。また、遺伝子として量子ビット表現を用いた量子風進化的アルゴリズム(QEA)が提案されているが、QEAは単点探索を行うSimulated Annealingと同様な探索を行うことが可能であり,大域的探索から局所探索へと自動的に移行する特徴を持っ.また,大規模な問題を解くために,多点探索アルゴリズムと同様に,複数個体を用いて解探索を行うことも可能である.QEAでは,集団内の個体を複数の部分集団に分け,グループ内外での移住を行い、グループ毎に個別に進化を行うことで,粗粒度の分散並列化が可能となる.その反面,グループ数や移住を行うタイミングなどのパラメータを調整しなければならない.また,ナップザック問題におけるパラメータ調整を統計的に得るために,大量の実験が必要であったが,他の問題にQEAを適用する際は,問題の特性や規模を考慮したパラメータの調整指針を得るべく,同様に大量の実験を行う必要がある.本研究では,QEAよりも単純なアルゴリズムで,調整に必要なパラメータが少ない,対交換に基づく量子風進化的アルゴリズム層(QEAPS)を提案した.QEAでは,集団内での最良解情報とグループ内での最良解情報を共有するのに対し,QEAPSは各世代においてランダムに選択された2個体間で個体最良解情報を交換する.これによりQEAPSは,集団内で多様性を維持したまま探索を行うことができ,調整すべきパラメータがQEAよりも少ない単純なアルゴリズムで,高品質の解を効率的に発見できた.
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