研究概要 |
N(ソース)×η(対象)×m(変数)の3相配列の各ソースκ(=1,...,N)に対応するn(対象)×m(変数)のデータ行列X_κに主成分分析を適用すると,n×p(成分)の成分行列G_κとm×pの負荷行列B_κが得られるが,S_κを任意のp次正則行列とすると,X_κ〓G_κB_κ′=F_κA_κ′,ただし,F_κ=G_κS_κ,A_κ=B_κS_κ^<-1>′となる.成分と負荷のソース間比較を可能にするS_κ同定するために,平成18年度には,目的関数φ=(Nn)^<-1>‖F_κ-F‖^2+(Nm)^<-1>‖A_κ-A‖^2=(Nn)^<-1>‖G_κS_κ-F‖^2+(Nm)^<-1>‖B_κS_κ^<-1>′-A‖^2を最小にするF(ソースに共通の成分),A(共通負荷),および,変換行列S_κ(κ=1,...,N)を求める方法(同時プロクラステス分析,JPA)のアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは,S_κをその特異値分解を用いてS_κ=P_κΛ_κQ_κ′とリパラメトライズするもので,四時方程式を解くことと,既成の多変量解析法の交互反復に帰着される.以上のアルゴリズムのプログラムをFORTAN言語によって作成し,シミュレーションによって,その精度を確認した.平成19年度には,得られた解の解釈指標の整備,および,実データへの適用によるJPAの有用性の評価を目的として,以下の(1)〜(4)の研究を行った.(1)FとAの両者に同時に単純構造を与える回転法を考案した.(2)成分F_κのソース間変動と負荷A_κのソース間変動の大きさを表す分散指標を考案した.(3)F_κおよびA_κのソース間変動の態様を把握するために,ソース・対象・変数を同一空間内にプロットするバイ・トリ・プロット法を考案した.(4)印象評定データに,JPA,および,その比較対象として既成の三相主成分分析法の一つであるTUCKER2を適用した.その結果,データへの適合度が高いこと,および,F_κのソース間分散とA_κのソース間を比較できる点などで,JPAが優れることが例証された.
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