研究概要 |
Bayes法は 1970年代に大きく転換した。そしてその後の進展はすさまじい。この転換を要求側から促した流れが,低次元モデルの利用から高次元モデルの利用への転換にある。低次元モデルを用いた職人芸から,論理に忠実な解析への転換である。供給側からの流れは,計算機器と機能向上と計算技術の進歩にある。特に計算技術の進歩は目に見えやすいことから,多くの研究がなされている。ところが,研究の進展の中で大きな混乱も見られる。論理に対して忠実であるよりも,コンピュータの貢献が優先すると考える研究者がいるからである。 本研究では,推論に役立つBayes理論の進展を目指して初期の目標を達成した。先ずターゲットして,共役事前分布と一般化線型モデルの共通性を追求することを挙げた。一見制約的な条件の下に実際的な手法の提案をすることにある。理論を重視することにより,他の成果との関連が明確になるので研究結果に蓄積が効く。その結果,提案するモデルがより信頼できるものになる。研究遂行の切り口として,用いる特殊関数と近似法の範囲を拡げることがある。実際これまでの研究でも特殊関数の利用より周辺分布の表現により推論を容易にすることが出来た実用的なモデルである,指数分布族の属する誤差項を持つ一般化線形モデルがかなり解明できた。 当初は,見通しの利かない面があったが,研究期間の終盤になって大きく進展できた。更に,また形にはなっていないが,長い間気がかりであったBayes因子に対抗する新しい提案の着想が纏まってきた。母数の推定については,規準が簡明であるので研究は進みやすいが検定の問題が絡むと壁に当たりやすい。しかし,この研究では,推定を予測として把えていたので,予測の延長として検定を把えることが出来た。
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