研究課題/領域番号 |
18500229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生体生命情報学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 清二 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (80372259)
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研究分担者 |
上田 哲男 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20113524)
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70300887)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,890千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 真正粘菌 / Physarum / パターンダイナミクス / 回転ラセン波 / フラクタル表面 / 情報統合 / 行動決定 / 細胞運動 / 真性粘菌 / 振動パターン / 原形質流動 / パターン形成 / 反応拡散 |
研究概要 |
本研究課題の目的は真正粘菌の変形体を非平衡開放系で時間発展するシステムとしてとらえ、その高度な情報処理能力とその原理を調べ、生命現象を包括的に理解することである。主に以下の研究成果が得られた。 1.変形体によるフラクタル表面の認識 変形体は表面の物理的形状の違いを認識する事を明らかにした。ワックス(アルキルケテンダイマー)の表面にフラクタル次元が約2.3次元の部分と2次元の部分を作り、両方を同面積覆うように変形体を置いた結果、移植後細胞全体で同相同期していた振動はおよそ10分後にフラクタル次元の異なる表面の間で逆位相となった。 2.摘出内質ゾルの発展過程に現れる多様な動的パターン 巨大な変形体から嫡出した内質ゾルは調整後10分程度で収縮弛緩運動を開始し、その時空間パターンは時間経過とともに1)定在波、2)時空間カオス、3)回転ラセン波、4)同期パターンと発展する。同期パターンを示す変形体は管構造を形成し、同期パターンから回転ラセン波に遷移すると管構造が破壊される事が分かった。 3.原形質流動の流速場測定システムの構築 微小変形体を顕微鏡下で観察し、細胞内の原形質流動の流れ場と細胞の変形を同時に計測する画像解析システムを開発した。変形体の規則的な収縮弛緩運動、原形質流動および細胞の移動の相関を調べる事により、細胞運動のメカニズムを明らかにした。 4.複合刺激の情報統合機構 粘菌変形体に忌避・誘引の混合刺激を与えた際の応答を膜受容、収縮弛緩振動のダイナミクス、細胞行動レベルで調べ、細胞の情報統合機構を調べた。その結果共存する誘引物質濃度が高くなると共に忌避行動の現れる忌避刺激強度も高くなる事が分かった。また、変形体が行動判断を行う際、収縮弛緩周期よりもおよそ10倍長い周期の遅い位相変調ダイナミクスが顕在化し、そのリズムで位相波の方向が変化し、行動が決定されることが明らかになった。
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