研究課題/領域番号 |
18500254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
西村 一成 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (90321794)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,020千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 神経極性化 / 拡散障壁 / 軸索起始部 / 光ピンセット / 細胞骨格 / L1CAM / グリコサミノグリカン / プロテオグリカン / 軸索 / 樹状突起 / 糖鎖 / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / 生体分子 / 極性化 / 細胞接着分子 |
研究概要 |
極性化した神経細胞の形態は、軸索と細胞体樹状突起という二種類の領域で構成され、各領域には生理的機能に必要な固有の分子種を発現している。酵素的に分散した海馬神経細胞の培養系でも軸索の特異化は再現されることから、神経極性化の構築は、細胞外環境に極性化の手がかりを必要としないと想定されている。新生する軸索は、複数の未熟な神経突起のうちの一つの突起で、細胞内シグナル伝達分子のポジティブフィードバックループにより惹起される。この細胞自立的な軸索の特異化に続き、軸索あるいは細胞体樹状突起に特異的な分子が分布する。よって、このメカニズムを十分に理解するための主要な問題は、未熟な神経突起からいかにして一つの軸索が選ばれるのか、また分布した膜タンパクの側方拡散が極性化した軸索と細胞体の間隙でいかにして妨げられるのか、ということである。本研究課題は、膜骨格のアンキリンGとベータIV-スペクトリンの細胞内局在が、L1細胞接着分子(L1CAM)の側方拡散を軸索起始部で障害する拡散障壁を形成することを明らかにした。この障壁は、軸索起始部における他の膜貫通タンパクの集積に起因する立体障害によるのではなく、L1CAMとアンキリンGの直接的な結合に依存していた。これに加え本研究課題は、細胞外のグリコサミノグリカン(GAG)が、神経極性化の最初期で軸索の特異化を制御することを明らかにした。高度に硫酸化したある種のGAGは、分散直後の海馬神経細胞の細胞体周囲で偏在し、その後、極性化する前の神経細胞で一本の神経突起に局在し、極性化後の軸索には有意に局在する。そのGAGを酵素的に分解すると、軸索の多形成を引き起こしたが、軸索伸長には影響しなかった。以上の知見は、神経細胞は細胞自立的に細胞外環境に極性化の手がかりを与えて軸索を特異化し、極性化後は細胞内構成物によって分子の分布を維持していることを示唆する。
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