研究課題
基盤研究(C)
ゼブラフィッシュの様々な発生ステージにおけるfukutin遺伝子の発現パターンをin situハイブリダイゼーション(ISH)法により検討した。fukutin mRNAは、受精後きわめて早期(受精後4時間前後)より検出され、zygoticな遺伝子発現の開始とほぼ同時に転写が始まると考えられる。発生が進み、組織の分化が生じた後も中枢神経系を含む胚の広い領域で発現が認められ、この発現パターンは幼魚においても同様であった。さらに、他の脳奇形を呈する筋ジストロフィー症関連遺伝子(LARGE、POMGnT1)のゼブラフィッシュオーソログについても発現パターンを検討したところ、同様に中枢神経系を含む広い領域で発生早期より持続するびまん性の発現を呈しており、αジストログリカンの糖鎖修飾が中枢神経系の発生に関与することを示唆している。次に、Fukutin蛋白質の翻訳を阻害するモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチド(MO)をゼブラフィッシュ受精卵に注入し、発現阻害が胚発生に与える影響について検討した。MOの注入により用量依存的な発生障害が認められた。障害は個体の広汎な領域に見られ、fukutinの発現パターンを反映したものと考えられた。配列の異なる複数のMOを用いてMOの作用の標的特異性を検討したところ同様の結果を得たことから、発生障害はFukutinの発現阻害による特異的な作用であると確認された。中枢神経系に蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ2系統(is1-GFP、HuC-Kaede)を用いFukutinノックダウンの効果を検討したが、予想に反して著明な発生障害は認められなかった。Fukutinあるいはグリア性境界膜そのものの中枢神経系発生における役割が、魚類と哺乳類では大きく異なっている可能性があり、この問題に関するさらに踏み込んだ基礎的な研究が望まれる。
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