研究課題/領域番号 |
18500303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 准教授 (30217202)
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研究分担者 |
門田 麻由子 福山大学, 薬学部, 助手 (10389075)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 冬眠 / ハムスター / 神経保護 / アデノシン / オピオイド / 弓状核 / β-エンドルフィン / 終盤脈絡器官 / 冬眠維持期 / μ1受容体 / differential display / 視床下部 / c-Fos |
研究概要 |
1.冬眠関連物質の神経保護機構に関する知見 初代培養ハムスター海馬神経細胞を用いて、低温誘発神経細胞死を惹起させる実験系を確立した。この実験系を用いて下記の知見を得た。(1)低温誘発神経細胞死は、caspase依存性のアポトーシス様神経細胞死である。(2)ハムスターの冬眠時体温制御に関与する物質のうち、アデノシン、オピオイド、ヒスタミンなどの体温下降作用を有する物質が低温誘発神経細胞死に対する保護作用を有する。一方、thyrotropin-releasing hormoneなどの体温上昇作用を有する物質は神経保護作用を発現しない。(3)神経保護作用発現に関与する受容体は、いずれもG蛋白共役型受容体であるが、その細胞内情報伝達系は、adenylate cyclase-cyclic AMP-protein kinase A活性系、adenylate cyclase-cyclic AMP-proteinkinase A抑制系、および、phospholipaseC-IP3、DAG-protein kinase C活性系と様々であり、共通のメカニズムは見いだされなかった。以上の知見より、冬眠時に体温制御に関わる物質は、体温を下降させる、あるいは、低体温を維持させると同時に、低温により惹起される神経細胞死から神経細胞を保護し、神経機能維持に働いていることが示唆された。2.冬眠維持期の体温制御機構に関する知見 冬眠ハムスターを用いて実験を行い、下記の知見を得た。(1)冬眠維持期にμ1受容体の拮抗薬、あるいは、抗β-エンドルフィン抗体を側脳室に投与することにより冬眠が中断された。(2)弓状核において、冬眠開始1時間後は神経細胞の細胞体でβ-エンドルフィン免疫反応性が増強し、冬眠開始17時間後では神経線維で免疫反応性が増強した。(3)冬眠開始17時間後の終盤脈絡器官において、神経線維におけるβ-エンドルフィンの免疫反応性増大が観察された。以上の知見より、冬眠維持期の体温は、弓状核で産生されたβ-エンドルフィンが、軸索輸送により終盤脈絡器官に輸送され、μ受容体を活性化することにより制御されていることが示唆された。
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