研究課題
基盤研究(C)
本課題は、脳の発生発達に重要な役割を荷なうと考えられる、タンパク質のリン酸化に着目し、脳の発生発達の機序を解明するものである。脳形成の障害された変異マウスと野生型の脳のタンパク質リン酸化を比較することで、変異マウスにみられる脳の形成異常とタンパク質リン酸化の異常の関連を調べる事で、新たな切り口で、脳の発生発達の機構の解明を目指した。H18度は、脳発達障害の変異マウスである、Cdk5欠損マウスの胎生18.5日の大脳皮質を野生型と比較した。まず、リン酸化タンパク質を濃縮し、2D-DIGE法で比較し、差のあるタンパク質スポットを25解析し、23個について質量分析にてタンパク質を同定した。うち15スポットがCRMP2、3スポットがCRMP1、2スポットがCRMP4と同定された。我々は以前、CRMP2 Ser522がCdk5のリン酸化部位である事を報告している。さらに、pCRMP1 Thr509抗体を作成し、この部位がCdk5のin vivoのリン酸化部位である事が確認された。また、pCRMP4 Ser522抗体を作成し検討したが、Cdk5KO脳においてリン酸化レベルに差がなく、他のキナーぜの関与が示唆された。既知のタンパク質のリン酸化についても、リン酸化抗体を用いて検討し、Cdk5欠損マウスの大脳皮質で、stathmin Ser38のリン酸化が低下している事を見出した(Hayashiら2006)。H19年度は、リーリンシグナルの細胞内アダプタータンパク質のDisabled-1(Dab1)自然発症変異マウスであるヨタリマウスと、Cdk5の小脳特異的コンディショナル欠損マウスを、生後の小脳の発達期で解析し、差異のあるスポットを複数同定した。また、リーリンシグナルに対してDab1のCdk5によるリン酸化が抑制的に機能している可能性を見出し報告した(Ohshimaら2007)
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Brain Res. 1140
ページ: 84-95
J. Neurochem. 99
ページ: 237-250
Journal of Neurochemistry 99