研究課題
基盤研究(C)
近年、大脳皮質錐体細胞において、細胞体に与えられた脱分極により近位軸索に存在する持続性Na電流が活性化されることが報告されたが、活動電位の生成に関与するかにについては不明であった。そこで我々は、細胞体の脱分極に応じて幹軸索で生じた活動電位が細胞体へと逆伝播することが明らかとなっている三叉神経中脳路核一次感覚ニューロン(MTNニューロン)において、持続性Na電流が活動電位生成に関与する可能性を、ラット脳幹スライス標本を用いて検討した。リルゾール(10μM)及びTTX(10nM)を灌流投与すると、活動電位の波形はほとんど変わることなく、活動電位の発生が遅延し、閾膜電位が段階的に上昇した。細胞体と軸索小丘(AH)における同時記録を行ないながらTTX(50nM)を投与すると、細胞体の脱分極による活動電位生成は遅延した一方で、AHから細胞体へめ逆伝播に要する時間は変化しなかった。この所見から、活動電位生成の遅延が幹軸索内で生じていることが示唆された。更に、細胞体のパッチ電極内液にリドカインの膜不透過性アナログQX-314を投与し、AHの電極にはQX-314を含まない標準内液を充填して同時記録を行なうことで、細胞体からAHへと低下する細胞内QX-314濃度勾配を形成すると、ホールセル形成からの時間経過に伴い、AHで記録される活動電位(AHスパイク)の生成遅延の増加に伴って、振幅及び最大電位上昇率(MRR)も低下したが、細胞体で記録される活動電位(Sスパイク)では、その生成遅延の増加に伴う振幅及びMRRの低下は小さかった。このことは、軸索スパイクのQX-314に対する感受性が最も高く、その減衰をSスパイクよりもAHスパイクの方がより正確に反映することを示しており、逆伝播における所見とも一致する。以上の結果から、MTNニューロンにおいて、低電位活性化型持続性Na電流が幹軸索における活動電位生成に関与することが強く示唆された。
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