研究課題
基盤研究(C)
電子スピン共鳴(ESR)法は、角層研究の重要な手法のひとつである。ESRスペクトルから得られる秩序度は角層脂質の流動性を評価する良い指標であると示唆されている。しかし、ESR測定法のex vivo法としての詳細は確立されていなかったため、測定法についても詳しく検討した。シアノアクリレートを塗布したガラス板を用いて角層を剥離した。脂溶性のスピンプローブである5-DSAを使用した。0.1%のエタノール水溶液に溶解した0.001%5-DSAで37度1時間反応させた後、過剰な5-DSAは蒸留水で洗浄した。角層が接着したガラス板を、我々が考案したガラス板ホルダを用いてESRキャビティに導入することで、再現性の良いESRスペクトルを得ることができた。また、角層脂質に取り込まれたスピンプローブの秩序度を計算することで、ESRスペクトルから角層脂質を解析することが可能であると示した。さらに、深さ方向での角層試料のESRスペクトルは形状に差が認められ、シミュレーション法を用いた秩序度(S_0)は異なり、精査な解析ができた。これまでの結果を総合して、適正なスピンプローブの溶解とガラス板ホルダの使用によって簡便なex vivo角層脂質の構造解析が可能となり、ESR法による角層脂質の構造依存性に関する新たな指標の構築とすることができた。
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