研究概要 |
1.研究開始当初の背景 高齢者のバランス機能の低下には,複数の要因が関与しているが,感覚器や筋などの末梢の変化により全体として平衡機能が低下することが多い.感覚器の機能を維持向上させることはバランス機能を高める重要な要因である.姿勢制御に関与している感覚器に対し,走行やバランス運動を行うことにより機能低下を防止することが可能であろうか感覚器のひとつである機械受容器および末梢神経に着目し,基礎研究から運動の効果を検証した 2.研究の目的 本研究では,感覚器のひとつである機械受容器および末梢神経に着目し,基礎研究から運動の効果を検証した.神経栄養因子は,神経の生存維持に関与している.老齢や成体ラットの足底皮膚のおける神経栄養因子mRNAの発現の変化と,運動介入(走行運動,外乱刺激によるバランス運動)の影響を明らかにすることを目的とした. 3.研究の方法 本研究は,走行運動とバランス運動介入を行った.Wistar系雄性ラット老齢ラット(2年齢)に対し,トレドミル走行運動をまたWistar系雄性ラット老齢ラット(2年齢)と成体ラット(10週齢)には外乱刺激装置によるバランス運動を課した.実験終了後,足底皮膚にあるバッドを採取し,神経栄養因子(BDNF,NT3,NT4)とその受容体(p75,TrkB,TrkC) mRNAの発現量を比較した. 4.研究成果 走行運動において,BDNF mRNA発現量は,運動群,非運動群共に発現を認めなかった.NT3 mRNA, NT4 mRNA, TrkB mRNA発現量について,運動群,非運動群による差を認めなかったP75 mRNA, TrkC発現量について,運動群と比べて,非運動群は有意に発現量が低下していた. バランス運動群については,NT3 mRNA, TrkCmRNA発現量において,老齢運動群に対し,若齢非運動群,若齢運動群が,それぞれ有意に減少した.NT4 mRNA,TrkB mRNA発現量において,老齢運動群に対し,若齢非運動群が有意に減少した.
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