研究概要 |
高齢者の転倒リスクの低減を目的とし,下肢筋力と姿勢保持能力の低下など対象者個別に効果的かつ効率的に考えられた運動指導プログラムの実現への期待が高まっている.地方自治体や高齢者施設などでは,高齢者の転倒予防のために転倒予防教室を開催し,運動指導などを実施している.しかし,運動指導効果の指標や転倒リスク評価のためのパラメータを導出するための現行の手法は定量性および簡便性において極めて不十分な状況にある.そこで本研究では,転倒リスク評価及び運動指導効果のための実用的で定量的な新しい指標を当該分野に提供することを目的とする. 上記の目的のため,18年度は,計測システムの開発,下肢筋力計測・解析系の検討,およびデータの収集と解析をおこなった.すなわち,足指・足裏を考慮した簡便な歩行能力計測システムの構築し,足指間圧力に関連する複数の生体情報を連続的に処理できるよう現有の計測系を改良した.高齢者施設における基礎データの収集と転倒リスク評価指標候捕の抽出をおこなった.高齢者を対象に,歩行能力,姿勢制御能,下肢筋力などの変化を継続的に調べた. 19年度は,下肢柔軟性,歩行能力,下肢筋力における新たな評価指標の提案を行った.実際場面での利用を想定し,下肢機能に関係する8つの計測項目より高齢者の理解を補助と運動指導者の運動指導方法を支援するため,主成分分析を用いて下肢柔軟性,歩行能力,下肢筋力の3つのパラメータに要約した.これらは,健康推進のための戦略的プログラムや,大規模な研究事業を実施する前の基盤データを提供するものであると考える.
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