研究概要 |
初年度は,主に計測装置の開発およびデータ収集・分析のためのソフトウェア開発を行った. 計測装置については,焦電型センサと無線/有線LANおよびBluetoothを組み合わせた常設タイプと加速度計とBluetoothを組み合わせた携帯タイプの2つについて開発を行った.従来当該システムにあっては,小型化と電池寿命の問題があったが,小型化よりも薄型化を優先することで,携帯性を向上させ,サイズの制限を緩和することで,長時間の計測が可能となった.また,データ収集用ソフトウェアとしてWEB上でデータ収集が可能なシステムを開発した.これによりオンラインでのデータ収集渉可能となった.同時に長期間蓄積されたデータの変動から情報エントロピーを求めるアルゴリズムを開発した. 次年度は,最終年度として,昨年度に製作したシステムおよび,既存のシステムを用いて提案システムの妥当性と有用性を検証した.今年度はBluetoothを用いた携帯型のシステム,および室内の天井に設置した焦電型センサによるデータの取得と解析を行った.まず長期間獲得した時系列データについて,線形処理を用いた予備的調査を行ったところ,平常時と異なる傾向のある部分を発見した.しかしながら,線形処理で解析したところ,平常時と異常時である可能性を示した部分の統計量には有意差は認められなかった.このデータから情報エントロピーを用いた健康状態指標を抽出し統計処理を行ったところ,平常時のデータとの間に有意差が認められた.この結果は聞き取りによる調査が示す状況によく一致していた.さらに焦電センサの設置位置近傍に設置したテレビのON/OFFに基づくデータともよく一致していた.これらの結果から本研究で提案した情報エントロピーを用いた健康状態に関する指標は一定の条件のもとではあるが有用であることが示唆された.
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