研究概要 |
本研究は,足底板の内返し・外返しの軸周りに受動的な自由度を有する足関節底背屈訓練装置について, 1.現有プロトタイプの改造を行って受動自由度の可動範囲を拡大し,この改造プロトタイプを用いて実験を行うことにより,受動自由度が有すべき可動範囲を明らかにする.また,内返し・外返しの運動軸に減衰要素を導入することにより,使用者に適当な負荷を与えられる構造を新たに提案する. 2.被験者を用いた実験を行って,訓練動作パラメータと訓練効果との関係を明らかにする.の2点を目的として研究を実施した. 1.については,足関節底背屈訓練装置の個別対応の度合いを高めるため,現有プロトタイプの改造を行った.また,内返し・外返し軸周りに導入する減衰要素について,減衰要素概念モデルを装着して実験を行い,効果を確認した.実験の結果,減衰要素の装着によって,足裏に加わる力の偏りを平均化する効果を保ちつつ,足底板の内返し・外返し軸周りの急激な運動を回避可能であることが分かった.実験結果に基づき,減衰機構の設計・試作を行った. 2.については,訓練効果の指標について検討するために被験者実験を行い,訓練動作中および動作前後の生体信号の計測を行った.特に,下肢の循環不全によって減少した皮膚血流が,他動的な底背屈動作によって変化するか否かを,若年健常者を対象とした実験によって検討した.実験の結果,皮膚血流量および表面温に訓練動作と関連する可能性のある変化が現れており,これらの値が訓練動作の指標となる可能性が示された.
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