研究課題
基盤研究(C)
頭部加速度センサーである前庭器の刺激によって誘発される前庭動眼反射(VOR)の機能的意義は、「静止物体に対する視線の安定化」であると考えられている。したがって、運動物体を頭部運動によって追跡する場合、VORは運動物体とは反対方向に誘発され、動体視力にとって不利にはたらくとみなされてきた。本研究ではそれとは反対に、「頭部運動は動体視力を向上させる」という独自の仮説を検証するため、能動的頭部運動中における高速運動物体に対する動体視力および眼球-頭部運動の特性について解析をおこなった。本研究により、1)能動的頭部運動が動体視力を向上させる、2)その効果は頭部回転運動よりも頭部直線運動の方が顕著である、3)頭部回転運動による動体視力の向上は体性感覚によって駆動する頸性動眼反射(COR)の関与が大きい、4)頭部直線運動による動体視力の向上は予測性眼球運動(anticipatory SP)の関与が大きい、ことが明らかとなった。当初に予想していた積極的なVORの関与は否定的であったが、それにかわる新たな動体視力を向上させる神経メカニズムを提唱することが出来た。また副次的成果として、瞳孔フラッシュ応答による交感・副交感神経活動測定法を応用した快、不快の客観的評価法を確立することが出来た。実際の頭部運動には回転と直線運動の成分が含まれていることから、動体視力を向上させるためにはCORとanticipatory SPの能力が不可欠である。今後、本研究の成果を基にして、動体視力トレーニング法を確立し、実際のスポーツの場面に応用していきたいと考えている。
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