研究課題/領域番号 |
18500766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
加藤 茂生 早稲田大学, 人間科学学術院, 専任講師 (30328653)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 科学と帝国 / 植民地科学 / 上海自然科学研究所 / 台北帝国大学 / 物理学史 / 精神医学史 / 科学技術史 / 科学社会学 / 科学基礎論・技術論 / 植民地科学史 / 対外文化政策 / 殖民地科学史 |
研究概要 |
本研究は戦前、戦中期における、日本のアジアでの科学研究の国際協力に関する研究であり、とりわけ、1931年に設立された日中共同研究機関上海自然科学研究所および1928年に台湾に設立された台北帝国大学に重点を置いて資料調査、分析を行った。アジア地域における日本の科学技術研究のつながりが期待される今後、本研究から得られる歴史的知見が将来のアジアにおける日本の科学研究の国際協力のあり方についての考察に資することが望まれる。 科学研究の国際協力と言っても、日本がアジアに植民地を拡大し、大陸に侵略する過程においては、それは様々な政治的意図が含まれるものであった。実際、中国においては、協力という美名のもとに文化侵略を行うのだという非難が巻き起こった。このような現象は現在文化帝国主義という概念で分析がなされている。まず、この文化帝国主義という概念について検討を加えた。 上海自然科学研究所に関しては外務省外交史料館所蔵史料や研究所が発行した雑誌を主な資料として分析を行い、とくに地球物理学、地球化学においては、困難な状況の中で日本人研究者が中国人研究者との個人的な関係を利用して研究されたことを示した。 また、台北帝国大学に関しては、精神医学研究に重点を置いて分析を行った。台湾人の研究者養成はごく狭い範囲で行われたものであり、原住民に対しては亜熱帯という気候との関連から日本人との民族的な差異を強調する視線と文化相対主義的視線の両方があった。そして、文化精神医学的研究伝統は部分的に戦後にも引き継がれた。当時の医療的実践については、日本国内の状況すら従来じゅうぶん分析されてこなかったため、西洋医学と伝統医学の関係という観点から検討を行った。 研究成果は日本科学史学会をはじめ、国際科学社会学会、国際東アジア科学史会議、東アジアSTS会議など国際学会で発表し、中国や韓国でも共著の図書を出版し公表した。
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