研究課題/領域番号 |
18510005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 茂明 東京大学, 海洋研究所, 教授 (20242175)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,290千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 温暖化 / 干潟 / 分布域拡大 / カワアイ / ホソウミニナ / ミトコンドリアDNA / 遺伝子配列 / 人為的移入 / 進化速度 / 系統地理学 |
研究概要 |
遺伝的に分化した本州と沖縄のカワアイ各1個体について、ミトコンドリアDNA約8500塩基対の配列を決定、比較し、進化速度の速い3領域(COI遺伝子、ND2遺伝子、12SrDNAと16SrDNAで挟まれる3tRNA遺伝子とノンコーディング配列を含む領域)を選定した。ウミニナとホソウミニナのミトコンドリアDNA約4000塩基対の配列を決定した。これら3種間に遺伝子配列の違いは見られなかったが、これまで軟体動物から報告されているどの配列とも異なるものであった。 宮城県万石浦、福島県松川浦および最近再定着したと考えられている東京湾湾奥の人工湖である新浜湖のカワアイ集団について、この3領域の塩基配列を決定し、各集団の遺伝的特性を比較した。東北の集団は遺伝的多様性が低いものの、西日本の集団と有意な遺伝的差異が認められず、西日本からの移入又は温暖化等による分布域拡大によるものと考えられた。一方、東京湾の集団には3領域に他の日本の集団に見られない変異を持つ個体が高頻度に含まれており、85%の個体がそうした変異を少なくともひとつ持っていた。集団遺伝学的解析からも、東京湾の集団が日本の他のいずれの集団とも有意に異なる事が示された。これらのことから、東京湾の集団は絶滅後に、海外からの人為的な移入によって新たに形成された可能性が高いと考えられる。 日本産ウミニナ類で唯一、プランクトン幼生期を完全に欠く直達発生種であるホソウミニナの遺伝的に異なる2つのグループが同所的に出現する三陸海岸で2000年と2006年に採集された個体の遺伝的特性を比較したところ、最も南側の2ケ所でのみ黒潮型個体の頻度の若干の上昇が見出された。カワアイの新しい分布域の北限とほぼ一致する事から、近年の温暖化により、ホソウミニナの黒潮型個体の分布が北方へ移動している可能性が示唆される。
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