研究概要 |
1.銀殺菌に対する温泉の泉質の影響について検討した。 (1)Cl^-、SO_4^<2->共に濃度が高くなるとAg^+の殺菌効果に遅延性が見られた。(2)温泉によっては銀濃度が十分あるにも拘らず全く効果が見られなかった。これはAg^+が何らかの温泉成分と反応して錯イオンを形成しているためと推察した。 2.アメーバ内のレジオネラおよびアメーバに対する銀殺菌について検討した。 (1)Ag^+濃度0.05ppmでは栄養体アメーバ内のレジオネラは殺菌されなかったが2.5ppmでは殺菌力を示した。(2)シスト体アメーバ内ではレジオネラは2.5ppmでも殺菌されなかったが5ppmでは殺菌力を示した。(3)アメーバは5ppmでも全く死滅しなかった。 3.水溶液中のCu^<2+>はpHが高くなると減少する。今回、0.1%及び0.5%銅コーティング試料溶液では溶出した銅濃度に差は見られたが、各pHでの時間経過に伴い溶出した銅濃度には、ほとんど差は見られなかった。 4.アメーバ内のレジオネラおよびアメーバに対する銅殺菌について検討した。 (1)栄養体ではCu^<2+>が1ppmでは殺菌効果は見られなかったが5ppmでは76%,10ppmでは95%が殺菌された。 (2)シスト体ではCu^<2+>が1ppmでは殺菌効果は見られなかったが5ppmでは85%,10ppmでは94%が殺菌された。 (3)アメーバに対しては1ppmまではその生存率に変化は認められなかったが、5ppmで74%,10ppmでは47%の生存率であった。 5.pH7.2での銅イオン溶液におけるレジオネラに対する殺菌効果では、0.5ppm添加後6時間でレジオネラは完全に殺菌された.一方,銅コーティング試料溶液では,pH6.0,7.4,8.5のそれぞれの溶液および蒸留水,水道水,海水においていずれも0.1%溶液で効果が認められた。温泉水ではレジオネラに対する殺菌効果に差が見られたが,それは温泉のpHおよび泉質の違いによるものと考えられた.
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