研究課題/領域番号 |
18510042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三浦 雅彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (10272600)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,050千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 450千円)
2007年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 放射線 / 老化様形質 / 血管新生 / DNA修復 |
研究概要 |
腫瘍の血管新生に対する電離放射線(IR)の影響に関する研究は少ない。本研究では、IRが腫瘍血管を構成する血管内皮細胞(EC)にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。IRがECにアポトーシスを引き起こすことはよく知られているものの、その頻度は10Gyという比較的大線量でも10%程度である。我々は、増殖期にある血管内皮細胞(EC)に8Gy照射すると、ほとんどのECが(〜90%)3日目あたりから扁平巨大化し、増殖が停止することを見いだした。この現象は線量依存的で、老化様形質と極めて類似していたことから、老化マーカーとして知られるβ-ガラクトシダーゼ活性を調べると、ほとんどの細胞が陽性を呈していた。また、網羅的遺伝子発現プロファイル解析により、DNA複製関連遺伝子群と紳胞周期進行遺伝子群の発現減少、接着因子群の発現上昇といった老化細胞に特徴的なパターンを示したことから、この現象は老化であると結論した。次に、IRによって老化した細胞を用いて、血管新生能がどのような影響を受けるかについて検討した。その結果、細胞増殖能、遊走能、浸潤能が有意に低下しており、IRによって老化を誘導したECは、その血管新生能が抑制されると推測された。我々は、プラトー状態で静止期にあるECでは、老化様形質の発現が抑制されることを見いだし、その原因は、IRによって引き起こされたDNA二重鎖切断(DSB)修復能がプラトー期において充進しているためであることを突き止めた。以上の結果は、IRによって引き起こされる老化様形質の発現が、IR照射後のECの血管新生能に大きな影響を及ぼしている可能性を示唆した。
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