研究課題
基盤研究(C)
魚類のCYP1遺伝子の発現調節領域をオワンクラゲのGFP遺伝子と連結してメダカ卵に導入し、(1)ダイキシンなどの化学物質への応答性を示すトランスジェニックメダカを作成する、(2)薬物応答性を検証する、(3)鰓において強くかつ迅速な薬物誘導的遺伝子発現を示し、視認性の高い発色を示すトランスジェニックメダカを選別するという3つの計画については、ウナギCYPIAに続いて、ウナギCYPIB1を用いて薬物応答性を示すトランスジェニックメダカを作成することができた。500ppbという極低濃度のβナフトフラボンで誘導をかけたところ、CYPlAを用いたものに比べて発色強度は劣ることはなく、鯉における発色の視認性も高かった。CYPIB1遺伝子のどの部分が薬物応答性に貢献しているのかを調べるために、転写開始点から3.2k、2.2k、1.6kbpの5上流を用いてトランスジェニックメダカを作成し、誘導後のGFPの発現量をRNA量としてReal time PCR法で測定したところ、予想通り、3.2kの場合が一番強く、1.6kの場合が一番弱かった。このことより、XRE配列およびERE様配列の重要性が示され、今後薬物誘導性を有する遺伝子発現調節配列を人工的に設計・作成する場合に必要となる基本的知見が得られた。トランスジェニックメダカの系統確立を試み、導入DNAが生殖細胞系列に組み込まれ、かつ鯉においても強い誘導的発現を示すF1を得、さらに野生株と掛け合わせたヘテロのF2を得ることができたが、これらのメダカは弱く、長期間の飼育が困難であった。今後、強い誘導性を持つ配列を人工的に作成し、より少量のDNAを導入することによって、比較的強い系統を作出することが可能になると考えられる。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Comprehensive biochemistry and physiology C 147(3)
ページ: 278-285
Environmental Sciences 14
ページ: 1-16