研究課題
基盤研究(C)
本申請は有機ハロゲン化合物・芳香族炭化水素の鳥類に対する潜在的な感受性およびリスクを評価するため、鳥類AHRアイソフォーム(AHR1・AHR2)について発現レベルや機能について理解することを目的とした。具体的には、以下のような結果が得られた。リアルタイムRT-PCR法を用いて、カワウのAHRアイソフォームmRNA量を組織別に解析したところ、AHR1は多くの組織でほぼ同程度に、AHR2は主に肝臓で発現していた。また肝臓中AHRmRNA量の個体別比較から、AHR1とAHR2の発現量の間に有意な関係は認められなかった。以上の結果から、各AHRアイソフォームはそれぞれ異なる発現制御を受け、特異的な機能を有していることが示唆された。また、鳥類AHRの転写活性化能を評価するため、レポーター遺伝子発現系を構築し、AHRアイソフォームを介した各化学物質の転写活性化能の測定・比較をおこなった。まず、ニワトリやハシブトガラスAHR1・AHR2を対象に、代表的なダイオキシン類化合物であるTCDD; TCDF; PeCDD; PeCDFの4異性体とPCB3異性体(PCB126;169;118)の濃度依存的な応答性を確認した。その後、用量応答性が認められた異性体に関しては、各AHRのEC_<50>値を算出した。その結果、すべての鳥類AHR1でダイオキシン類濃度依存的な応答がみられ、ニワトリAHR1(EC_<50>0.0086-0.024nM)の方がハシブトガラスAHR1(EC_<50>0.095-0.87nM)よりも敏感にダイオキシン類に応答していることがわかった。一方、AHR2に関しては、ニワトリAHR2はすべての化合物に対して応答性がなかったものの、ハシブトガラスAHR2では用量応答性がみられ、種によってAHR2の機能が大きく異なることが示唆された。本研究の結果より、鳥類AHRのリガンド選択性や応答性には明確な種差およびアイソフォーム特異性があり、AHRの機能特性の解明がダイオキシン類や芳香族炭化水素に対する生物種固有のリスクや影響を評価するために重要であると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (36件) (うち査読あり 18件) 学会発表 (12件)
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