研究概要 |
新しい機能を付与できると期待されるTi,Zr,Si,Mg,Ceを含む環境低負荷型のマグネタイト微粒子を調製し、砒素除去への応用を検討した。Si系では、高い比表面積を示し、砒素対して高い吸着能力を有したが、中性領域でシリカの溶解がみられたため、地下水への応用が困難であることが示された.一方、Ti,Zr、Ce系は、中性領域の等電位点を持ち、高い比表面積を有するマグネタイト微粒子を調製することができた。このことから、マグネタイトの調製時に異なる元素を加えることにより、高性能砒素吸着材として重要な因子である等電位点と表面積を同時に操作することが可能であることが示された。XRDの結果から、本調製法によりマグネタイトの結晶成長が抑制され、よりアモルファス構造をとりやすくなることが示唆された。得られた微粒子を用いて砒素吸着特性を調べた結果、As(V)やAs(III)吸着に対してpHの存性がみられ、吸着材の等電位点よりも高いpH領域でAs(V),As(III)の吸着量の減少がみられた。pH7-8では、いずの吸着材もAs(III)およびAsN)に対して高い吸着量を示したことから、地下水中の砒素を除去に有効であることがわかった。砒素の吸着等温線の結果から、Zr,Ce系は特に低濃度のAs(III)除去に対して効果的であることが示された。Ti系はTi/Feのモル比を変化させることにより、等電位点、比表面積の異なるマグネタイト微粒子を調製することができた。Ti/Fe=1のとき、約240m^2/gもの大表面積をもつマグネタイトが得られ、それを用いたAs(V)およびAs(III)の飽和吸着量はそれぞれ0.85,1.20mmol/gを示した。この結果は既報のマグネタイトに比べて約4-6倍の吸着量であった。
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