研究分担者 |
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80292077)
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 准教授 (90313709)
秋山 英三 筑波大学, システム情報工牽研究科, 准教授 (40317300)
小山 友介 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助教 (80345371)
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研究概要 |
今日,社会ではいわゆるロングテール現象が多様な局面で観察される。このような状況下の社会現象,とくに社会動態の研究は,エージェントの異質性と経験的認知を行うエージェントの認識場を究明することが不可欠である。「経済合理性の限界」を一歩踏み込んで,認識場におけるエージェントの「ルール改訂を含む」ダイナミクスの研究を行った。本研究はつぎの4部構成,つまり,I「異質的エージェントの相互作用と進化経済理論」(有賀,江頭,小山担当),II「人工市場と異質的相互作用エージェント」(有賀,橋本担当),III「進化ゲームと記憶形成」(秋山担当),IV「認知枠組み付きエージェントモデリングと情報コミュニケーション構造」(橋本,江頭担当)となっている。I部では,モラルサイエンスと複雑系の観点から,経済合理性を貫けないこと,異質的相互作用の観点から新たな道徳律が導けること,これらの研究には進化経済学史的方法が有用であること,一方,エージェントベースシミュレーションはかならずしも既存の経済理論に取って替わるこ乏はできないことを明らかにした。II部では,市場理論をU-Martシステムの観点から扱い,取引所取引をハーザード関数と多項ロジットモデルによって定式化してみた。また,取引所ではサーキットブレーカーなど制度設計が取引にどのように影響を与えるかを解明した。III部では,相互作用を通じて戦略パラメータが自動調整されるダイナミカルシステムゲームで進化的行動と記憶形成の分析を行い,エージェント間の互恵の進化を追跡した。IV部では,内部ダイナミクスを持つ認知エージェントが相互作用する社会動態の進化の分析を行った。以上のように認知主体の立場を様々に特定することにより社会、経済秩序の形成の分析を行った。
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